無期転換の有無を巡り、東京地裁が労働審判を下す

KLMオランダ航空に契約社員として雇用されていた客室乗務員の3名が、労働契約法に基づく無期転換の申し込みをしたにもかかわらず、これを拒否されて雇止めが行われたことが無効であると主張し、職場復帰を求めて労働審判手続きを申立てた事案で、東京地裁は、令和元年8月19日に、雇用継続を前提にした労働審判を下しました(https://www.bengo4.com/c_5/n_10035/)。

労働契約法18条は、通算契約期間が5年を超える労働者について、有期雇用契約を無期雇用契約へと転換させることのできる権利(無期転換申込権)を認めています。本件の客室乗務員3名は、2ヶ月の訓練期間を経た後で、5年間の勤務をしており、この訓練期間が雇用契約期間かどうかが争点になったようです(訓練期間が雇用契約期間ではないとすると、5年を超えていないため、無期転換申込権は発生しません。)。

無期転換申込権は、通算契約期間が5年を超えることになる雇用契約の雇用契約期間中において行うことができるとされています。そのため、例えば、平成25年5月1日に雇用契約期間を2年とする有期雇用契約を締結し、その後も同一の雇用契約期間で更新された場合、2回目の更新後(令和元年5月1日以降)に、無期転換申込権を行使することができます。

労働者と有期雇用契約を締結している場合、無期転換申込権がどのタイミングで発生することになるのかを正しく把握しておき、これを踏まえた対応をすることが重要です。

また、仮に無期転換申込権が発生しておらず、有期雇用契約のままであったとしても、期間満了によって当然に雇用契約を終了させることができるわけではありません。労働契約法19条は、①実質的に無期雇用契約と同視できる場合や②更新についての合理的期待がある場合には、雇止めの有効性について、解雇と同様の厳しい基準(客観的合理的理由+社会的相当性)が適用されます。

なお、本件とは別に、KLMオランダ航空の契約社員19名が、東京地裁に対して雇止めの撤回を求めて訴訟提起を行っています。本件の労働審判を踏まえて、オランダ航空がどのような対応を行うのか、注目されます。

タイトルとURLをコピーしました