Q&A~年次有給休暇の時季指定義務の経過措置~

Q.当社は、年次有給休暇の付与日が、毎年10月1日なのですが、働き方改革関連法施行後の2019年4月1日から同年9月30日までの期間についても、年次有給休暇の時季指定義務を負うのでしょうか?

A.経過措置が定められており、2019年4月1日後の最初の基準日(年次有給休暇の付与日)から時季指定義務を負うことになりますので、2019年4月1日から同年9月30日までの期間については時季指定義務を負いません(この期間に、使用者が時季を指定して年次有給休暇を付与しなかったとしても、使用者に罰則は科されません。)。

【解説】
働き方改革関連法によって、年次有給休暇の時季指定義務が定められ、これに違反した場合には、30万円以下の罰金が科されます(労基法120条1号)。
時間外労働の罰則付き上限規制については、中小事業主についての経過措置が認められていますが(中小事業主については、2020年4月1日から適用)、年次有給休暇の時季指定義務については中小事業主の経過措置が認められていませんので、全事業主が、2019年4月1日から適用を受けます。
もっとも、年次有給休暇の付与日については、4月1日としているケースもあれば、1月1日にしているケース、入社日に応じて労働者ごとに異なるケースなどがあります。4月1日に付与しているケースであれば改正法の適用タイミングと一致しますが、それ以外のケースの場合はズレが生じます。このようなズレについては、経過措置として、「この法律の施行の際四月一日以外の日が基準日…である労働者に係る有給休暇については、この法律の施行の日後の最初の基準日の前日までの間は、新労基法第39条第7項の規定にかかわらず、なお従前の例による」と定められています(附則(平成30年7月6日法律第71号)4条)。
したがって、4月1日が基準日ではないケースの場合、2019年4月1日から同年9月30日までの期間については時季指定義務を負いません。

※解説希望のご質問がござましたら、ご連絡下さい(連絡先:info@jmatsuda-law.com)。

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